エルの友達

エルが家に来てからというもの、犬の散歩をしている人から声をかけられたり、昔飼っていたという人から声をかけられたり、小さい子連れのお母さんたちから話しかけられるようになった。家の目の前には病院があるので、病院の患者さん、処方箋薬局の薬剤師さん達もお友達。生憎、エルは犬が嫌いで人好き。恐らく自分のことを犬ではなく人間と思っていたのではないか。しかし不審者に対しては手厳しく吠えた。
番犬として我が家の駐車場に犬小屋を構えてからは、我が家の他にご近所さんのお宅まで幅広く仕事をこなしていた。ご近所さん宛に来た郵便配達員さんや運送業者さんまでにも吠えまくっていた。もう声がかれるくらい。おかげで、裏手の同じブロックの住宅には空き巣が入ったことはあったが、我が家には一度も空き巣騒動はなかった。まぁ。盗るようなものもなかったが。
エルは私たち家族が知らないところで多くの友人がいたようだ。今年1月の寒い中、少しでも日の光を浴びさせようと外に出していた時のこと。夕刊をとろうとポストを見ると一枚の紙が。ポンタの飼い主さんへという題で小さなメモ用紙にお手紙だった。ある日突然今までの呼んでいた以外の呼び名で呼ばれていたことを知った私たち家族にとっては爆笑だったが、お手紙の内容にはじーんときた。恐らく小学生3、4年生くらいの子が書いた手紙。寒い中、外にポンタを出しているのでぶるぶる震えていた。あまりにも可愛そうだったのでお家には内緒でお父さんのハンカチをポンタにかけてあげたという内容。できるだけ早くお家に入れてあげてくださいという内容だった。それはもっともで、実はこの時エルはもう18歳。痴呆の症状も半年前くらいから出ていて、その後1か月くらいで老衰の為に亡くなってしまうのだが、私たち家族もこの時、母は3年前に他界しており、昼間面倒を見ていられる人がいなかった。父、兄、私は仕事で帰りも遅くなりがちだった。家の中では寝るばかりで刺激もなく痴呆が進む一方だから、せめても晴れの日は寒いが外に出そうという判断でのことだった。しかし18歳で寒空の中、電気もつかない駐車場での留守番はとても可哀想なことをしてしまっているのだと反省した。エルはいい友達をもっていたと思う。

たそがれロッキー

小学校低学年のころ、ご近所の半数くらいのお宅に犬がいて、どうしても犬が飼いたかった私は遊びに行ってはなでまわしたりしてました。
当時、隣の家に住んでいたひとつ年下のあつしくん(あっちゃんと呼ばれていた)も犬が大好きで、下校すると一緒に犬めぐり行脚(笑)などしてました。
あんまり犬同士で仲が良くなかったため、別の犬のにおいがついたまま行くとほえられたりもしましたが、ぼちぼち慣れてきたころ。
ある日の夕方。
Hさんちのロッキーのところにいきました。
ロッキーはわりと気難しい感じのおとなしい・・子供から見るとなにか厳粛な雰囲気をもっていて、「来てくれてうれしいよ!」という態度をあまり見せないタイプの茶色い中型犬でした。
ロッキーは食事の時間で、ごはん(ドッグフード)をお皿に盛ってもらって、さあ食べようというところでした。
食事の時間にあまり居合わせない私たちはとても楽しい気分で一緒にいたのですが、すこし離れた場所にあった水を、あっちゃんがロッキーの方へ引き寄せてあげようとしたとき。
「ウォンッ」
怒りの混じった声で一声ほえると ロッキーはあっちゃんの手を一瞬かんだのです。
すぐに離したけど、あっちゃんもわたしもショックで固まってしまいました。
「どうしたの?!」悲鳴をききつけて、Hさんちのおばさんが家から飛び出してきました。
「ロッキーが」
あっちゃんの手はうっすらと血がにじんでいました。
そのあと私がどうしたかもう覚えていないのですが
Hさんはあっちゃんとあっちゃんのご両親に平謝りして、ロッキーを保健所につれていこうとしましたが
あっちゃんが「保健所につれていっちゃいやだ」と言って泣いてとめたそうです。
それからしばらくはロッキーがこわくて犬行脚はしなくなりましたが、あるときふとHさんちを通りかかると あっちゃんとロッキーが一緒にいました。
本当の犬好きはあっちゃんだったみたいです。(^^)

シャイなあの子。

学生仲間7人で軽井沢に行った時のこと。
天候に恵まれず、霧の中で観光していたら
おみやげ屋さんの前に、のっしりと構えた大きなゴールデンレトリバーがいました。
なんつう風格。店のまえの広場に大きな体をふせて後ろ足をのばしてる。まるで熊のような。(笑)
しかし目を合わせようとしない。
ひとみしりか?と思ったけど
一緒にいた友人Oが
「可愛い!やる気な~い!一緒に写真撮ろう」
というのでそばに座ったがいいが起き上がるそぶりもない。
(やる気なくて可愛いというのもなんだかな・・・)
「・・・・・・・」
まるで興味がない顔をしているにもかかわらず
すっ
と手(前足)が、目の前にさしだされた。
条件反射でその手を受け取る私。
本人が伏せの状態のせいか その手に若干体重がかかっていて重い。
「ん?お手なんて言ってないよ?」
と言ったら
すっ
と反対の手(前足)がさしだされた。
またもや条件反射でその手を受け取る私。
「いやいや だからっておかわりというわけでは」
すっ
またお手になる。
目を合わせない彼(彼女?)。
最低限の看板犬としてのつとめを果たしているということか・・・・
可愛がられるのに飽きてるんだろうか?
本当は内気なのかしら。
そのときはちょっと引いた(^^;が
いまなら「お疲れ様」と言ってあげたい。お仕事だもんね。
友人たちは爆笑してました。
「慣れすぎてる!客あしらいに!(>∀<)」
「お手とかちがう」というと際限なく手を替えてくるので
とりあえず離そうと思ったら
離しただけでも また手を差し出してくる。
仕方ないので手をずーっと乗せたまま写真を撮りましたよ。
まるでエスコートしているていでしてん。
割と楽しい思い出です。
また軽井沢行きたいな。元気かなあ。ちょっとお店の名前忘れちゃったんだけど。
シャイなあの子に会いたいです。

きみに忠誠を誓う

 

ついこの間はまってやりこんでいたゲーム「ペルソ○3」に、「コロ○ル」という犬が登場する。
紀州犬らしい。
夜中の12時になると発生する異空間にて身を守ることができなかった人間は死んでしまう、という設定。そこで身を守るための能力をもつものと持たないものがいるが・・・
コロ○ルは、飼い主を守りたかったために能力を身に付けた。(飼い主は亡くなって、コロ○ルも瀕死の重傷を負った。)
んで、主人公チームと一緒に行動をともにするわけなんですが。
まあ忍者犬みたいな動きで(^^)カッコイイんだな。
「銀○ 流れ星○」を彷彿とする・・・

で、なにかというと。
飼い主が危険にさらされたとき命がけで守る犬っているのかどうか、という実験を昔の番組でやってましたね。
あれは人間の方の演技力も必要と思うけど。
なかなかにのんきな犬が多くて脱力した覚えが・・・(^^;
唯一、さらわれるご主人を追いかけて小走りで車について行った柴犬君に泣けましたけど
そのときのアテレコが俳優の八嶋さんの声で
「ご主人!どこいくのご主人!ご主人~!!!」

うちの主人(ダンナ)が大爆笑してました。(_ _:
いや面白いけど。
相手のことを思う、といえば。
学生時代の友人Nに 溺愛する「ドク」という犬がいました。(バック トゥ ザ フューチャーの「ドク」からきてるらしい。)
ドクはちょいちょい首輪をはずしてどっかに行っちゃう。
そのたんびにNは町中探し回って、隣町で発見したりとか 結構大変だったらしい。
あるとき、本当にいなくなって一週間経ち。
Nは目に見えて元気がなくなっていきました。
「見つかるといいね」と言ったものの、彼の家は私の家とは全く方向が違うので地理もわからないし探すのも手伝えないし、と思っていた矢先
「見つかったよ!」ほっとしつつもこころなしかげっそりしてNが言いました。
良かったね!でもなんでげっそり?
「ドクさー・・・普通の顔してあるいていたんだよ」
「?」
「こっちは知らない場所で迷って 怖い思いをしてるんじゃないかとか すごい心配したのに」
・・・・片思いとは言わないまでも、ドクくんはわりとツンなようです。
幸せだと思うけどね。

「きみに忠誠を誓う」なんて思ってくれなくても、十分だと思うよ。無事なら。